群馬の畳職人ブログ
【職人の仕入れ裏話】始動ランクの畳替えに、まさかの名匠・松田州平氏の畳表を大抜擢した理由とは?
お世話になります、桐生市の佐藤畳工業です。「一針入魂」本日も職人としてのプライドを胸に、地域の皆様へ畳への熱い想いをお届けいたします。
皆様は、畳店がどのように材料を仕入れているかご存知でしょうか?実は一般的な畳屋の多くは、よく注文が入る「安価な材料」ほど手元に在庫を抱え、滅多に出ない「高価な高級材料」は注文が入ってからその都度問屋から取り寄せをします。しかし、佐藤畳工業の仕入れの流儀は、その真逆です。当店では高価な上級材料になればなるほど、自社の倉庫にしっかりと大量の在庫を抱えています。
■ 高級な材料ほど「自社熟成庫」で寝かせることで価値が上がる
私が惚れ込み、絶対的な信頼を置いている熊本の最高峰のい草生産者・松田州平氏が手がける最高級畳表。その美しさと耐久性はまさに芸術品です。こうした「納得」ランク以上の高級畳表につきましては常にしっかりとした枚数を自社で買い占め、責任を持って在庫を確保しています。
なぜなら、高い材料ほど、時間をかけてじっくり寝かせる(熟成させる)ことによって、素材としての価値がさらに跳ね上がるからです。自社の専用熟成庫で湿度をコントロールしながら大切に保管されたい草は、余分な水分が抜けて非常にカビにくくなり敷き詰めた瞬間の美しさと耐久性が最高レベルに達します。逆に、それより下のランクの時には、必要枚数分だけその都度問屋から仕入れるという形をとっています。
■ 始まりは1本の電話から。問屋から告げられた「まさかの報せ」
そんな中、次のお仕事に向けて当店のスタンダードな位置づけである「始動」ランク(熊本産綿々畳表)を12.5枚使うご依頼をいただきました。この「始動」ランクは通常、特定の生産者の縛りはなく、その時々の良質な綿々ランクを必要枚数分だけ問屋さんへ電話注文する仕入れ方法となっています。
早速、いつものように問屋さんへ注文の電話をかけたところ、予想だにしない言葉が返ってきました。問屋さんも私が大の松田州平ファンであることをよく知っているため、「佐藤さん、ちょっと普通より高いですけど……いま、州平さんの綿々(始動ランクの織り)が手元にありますよ」と言うのです。
それを聞いた瞬間、激しい葛藤が生まれました。始動ランクの予算枠ですから、仕入れ値が高くなればその分当店の利益は減ってしまいます。職人として仕入れ値を少しでも安く渋るべきか、それとも……。しかし、私の迷いは一瞬でした。「利益が減ったとしても、納品した畳をお客様に120%喜んでもらいたい!」その想いが勝り、ちょっとだけ悩みましたが名匠・松田州平氏の織り上げた綿々畳表を買い揃える事にいたしました!
同じ「始動」ランクのご注文であっても、名匠の手仕事が入ったい草の艶、香りの深さ、そして織りの美しさは群を抜いています。このような奇跡的な巡り合わせを、最高のお部屋へと仕立て上げるのが佐藤畳工業の役目です。安い畳をただ右から左へ流すような作業はいたしません。利益を削ってでも、本物の価値を持つ最高の状態の畳を地域の皆様のお手元へお届けする。それこそが職人としての誇りです。新しく生まれ変わるお客様の12.5畳の和室、思わず息を呑むような素晴らしい空間に仕上げてまいりますので、どうぞお楽しみに!
【公式LINEからのご相談も大歓迎です】
